これまでは自筆証書遺言を作成したら、そのまま遺言者が自宅で保管するか、司法書士等の遺言執行者がいる場合は遺言執行者に預ける方法が一般的でした。
自宅で保管する場合、相続人によって隠されたり、変造されたりする可能性があります。
また、その遺言書が本当に本人が作成したものかどうかで、相続発生後に争いになる可能性もあります。
そこで、法務局が本人確認を行った上で、自筆証書遺言を保管できるようになりました。(法務局における遺言書の保管等に関する法律第4条、第5条)
さらに、法務局で保管してもらっていた場合、自筆証書遺言であっても公正証書遺言と同様に、死後の家庭裁判所における検認手続が不要となります。(第11条)
公正証書遺言を作成するのは少し手間と費用が大変という方に、ご利用をおすすめいたします。
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遺言書の保管申請(第4条、第5条)
遺言者は、
- 遺言者の住所地
- 遺言者の本籍地
- 遺言者が所有する不動産の所在地
のいずれかを管轄する法務局に対して、自筆証書遺言書(以下、単に「遺言書」といいます)の保管の申請をすることができます。
遺言者ご本人が窓口で申請する必要があり、その際本人確認書類を提示します。
遺言書は、封印しないものである必要があります。
遺言書の保管等(第6条、第7条)
遺言書にかかる情報は、遺言書の画像情報、遺言書作成日、遺言者の住所・氏名・生年月日・本籍、保管開始日、遺言書保管所の名称及び保管番号が磁気ディスクに記録されることにより、管理されます。
遺言者は、遺言書が保管されている法務局に対し、閲覧を請求することができますが、保管の申請の際と同様、遺言者ご本人が窓口で申請する必要があります。その際、本人確認書類を提示します。
遺言書情報証明書の交付等(第9条)
遺言者の相続人、遺言書に記載された受遺者、遺言により認知するものとされた子、遺言執行者など一定の方(以下、「関係相続人等」といいます)は、その遺言者が亡くなられている場合に限り、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(遺言書情報証明書)の交付を請求することができます。
この交付請求の対象は、遺言書が保管されている法務局に限りません。
関係相続人等は、遺言書を保管する法務局に対して、遺言書の閲覧を請求することができます。
法務局は、遺言書情報証明書を交付し又は遺言書の閲覧をさせたときは、遺言書を保管している旨を、すでに遺言書の存在を知っているときを除いて、遺言者の相続人、受遺者、遺言執行者に通知します。
遺言書保管事実証明書の交付請求等(第10条)
ご自身が関係相続人等にあたる遺言書が保管されているかどうか、保管されている場合には遺言書保管ファイルに記録されている遺言書に記載されている作成年月日、遺言書が保管されている法務局の名称及び保管番号を証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます。