株式も預貯金等と同じく相続財産にあたります。
また、少し株式が特殊であるところとして、株式を保有しているということは、その株式を発行している会社のオーナーの一人ということであり、株主総会で議決権を行使する権利があります。
株式は、相続人が複数いる場合、その法定相続分にあたる数だけ分けて保有するということにはならず、一株一株を、相続人が共有(準共有)して保有することになります。
たとえば、株式会社甲の株式を100株有していた株主Aさんが亡くなり、Aさんには、妻Bさん、子供Cさんがいるとしますと、A社の株式100株はその一株一株が、妻Bさん、子供Cさんの準共有状態にあるということになります。Bさんが法定相続分2分の1にあたる50株、Cさんが法定相続分2分の1にあたる50株について、分けて株主となるわけではありません。
このままでは、株式の議決権行使をすることができませんので、遺産分割協議を行い、それぞれの株式の相続人を決める必要があります(議決権行使をする方法としては、ほかにもありますが、省略します)。そして、株式を相続することになった相続人が、会社に対し名義変更等の手続をとり、株主としての権利を行使することになります。
株式に興味がなく、価格が変動するのが嫌なので、すぐに売却してしまいたいと思っても、亡くなられた方名義の株式をそのまま売却することはできず、不動産と同じように、一度相続人の名義に変更する必要があります。
亡くなられた方が、株式を保有していたかどうかの調査
亡くなられた方が株式を保有していそうな様子があったとしても、具体的にどのような株式を持っていたかは、わからないことがほとんどかと思います。
以下のような調査方法があります。
このページの目次
1.郵便物を調べる
証券口座を持っていると、証券会社から郵便物が届きます。年末は確定申告に必要となる資料が届きます。残っている郵便物を確認しましょう。
2.預貯金通帳を調べる
預貯金通帳に、株式の配当金の入金があるかもしれません。
3.パソコンを調べる
パソコンのメールに、証券会社からのお知らせメールが届いているかもしれません。「証券」「口座」「お知らせ」「案内」などのキーワードで検索してみましょう。
保有株式がわかれば、相続手続を進めていくことになります。
株式の相続手続の流れ
株式の名義変更は、その株式が上場会社の株式か、非上場会社の株式かにより、異なります。
なお、
上場会社の株式とは、証券取引所を通じて売買ができる株式
非上場会社の株式とは、証券取引所を通じて売買ができず、自分で売買の相手方を見つけないといけない株式です。
まずは一般的な上場会社の株式についてご説明します。
証券会社に連絡し、必要書類や様式を確認します。
なお、どの支店窓口でも対応が可能である証券会社、郵送のみの対応をしている証券会社等証券会社により、手続が異なります。
一般的に必要となる書類は、次のとおりです。
- 上場株式等移管依頼書
- 亡くなられた方の戸籍謄本(出生又は各証券会社が定める年齢から死亡時まで)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書(各証券会社が定める期限があります)
- 相続人全員の署名押印(実印)のある遺産分割協議書
- 証券の証書
相続人が当該証券会社に口座を保有していない場合には、同時に口座開設の手続きも進める必要があります。
相続人名義の証券口座に名義書換をし、必要に応じ遺産分割協議内容にそって売却及び解約手続をして、売却代金を分配して手続完了となります。
なお、株式を売却すると譲渡所得税が発生します。譲渡所得税は代金を受け取った各相続人がそれぞれ負担するように相互に確認しておくのがよろしいかと思います。
※株券について
上場会社の株券は、2009年にすべて廃止され、電子化されました。ですが、ずっと自宅や貸金庫に保管されたままの上場会社の株券が見つかる場合があります。こういった株券は、タンス株と呼ばれ、電子化手続と同時に相続手続を行う必要があります。
続いて、非上場会社の株式の相続手続についてご説明します。
非上場会社の株式はなかなか発見しにくいですが、会社の役員であった場合、念のため会社に確認するのがよろしいかと思います。
株式を保有していた場合、株式の発行会社に直接連絡し、必要な書類と様式を確認します。一般的な必要書類は、
- 株主名簿書換依頼書
- 亡くなられた方の戸籍謄本(出生又は株式発行会社が定める年齢から死亡時まで)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書(株式発行会社が期限を定めている可能性があります)
- 相続人全員の署名押印(実印)のある遺産分割協議書
- 株券(非上場会社でも多くの会社で株券が廃止されていますが、発行されている可能性もあります)
株主名簿の書き換えが終了すれば、手続終了です。
なお、非上場会社の株式は、株式の譲渡につき、例えば「取締役会の承認を要する」といった規定が設けられていることが多いです。こういった譲渡制限付株式では、「相続人等に対する売渡請求」に関する規定も定められていることがあります。
この定めに従って株式を発行した会社が相続人に売渡請求をしてきた場合、相続人は株式を相続することはできません。
株式の発行会社に売り渡し、売渡金を受け取ることになります。
平日に手続を行う必要がありますので時間がとりにくいでしょうし、相続人全員の書類を集めるのはなかなか大変かと存じます。
当事務所で証券会社への株式の名義変更手続き代行をいたします。
まずはお問合せください。