亡くなられた方の預貯金は、銀行に亡くなったことが判明した段階で凍結されます。
遺産分割が確定するまでは相続人単独での払戻しをできなくするためです。
凍結を解除(口座を解約)して相続手続を進めるためには、次の順番で手続を行う必要があります。
このページの目次
1.銀行の窓口にて、必要な記入書類を確認
各金融機関で記入する書類が異なりますので、まずは、窓口にて必要な書類を確認し、用紙を受け取ります。
2.戸籍謄本等の収集
ほかの手続とも重複しますが、どこの金融機関でも戸籍謄本等は要求されます。
一般的に要求される書類は、次のとおりです。
- 亡くなられた方の除籍謄本等(出生又は各金融機関が定める年齢から死亡時まで)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書(各金融機関が定める期限があります)
- 預貯金通帳、証書
したがいまして、少しでも早く手続を進めたい場合、必要通数を把握して収集する必要があります。ただ、コピーを取るなど各金融機関で必要な手続をした後はそのまま返却されますので(基本的には何も言わなくても返却してもらえますが、一言返却してほしいと伝える方がよいとは思います)、時間的に比較的余裕がある場合は、一か所ずつ進めていけば、戸籍謄本等の通数は各1通で足ります。
3.遺産分割協議
こちらもほかの手続と重複しますが、どのように財産を各相続人が取得するかを相続人全員で決める協議を遺産分割協議といい、預貯金も遺産分割協議書に記入します(なお、預貯金の遺産分割につきましては、2016年の判例変更で預貯金は遺産分割協議の対象になるということで落ち着いています)。
ただし、こちらの作成する遺産分割協議書を各金融機関が必ず認めてくれるかはわかりませんので、所定の様式に従う方がよいかと思います。
なお、遺産分割協議がまとまっていなくても、相続人全員の合意(金融機関所定の用紙へ全員の署名と実印)があれば、預貯金の払い戻しに応じてくれる金融機関がほとんどです。
したがいまして、当事務所では、遺産分割協議を別途進めながら、先に4に進みます。
※2019年7月1日から、遺産分割前の預貯金債権の払戻請求ができるようになりました。相続発生後の当面の必要生活費、平均的な葬式の費用の支払いができるように、一定の金額までは、各相続人が単独で預貯金を払い戻せるようになります。
一定の金額とは、一つの金融機関ごとに法定相続分の3分の1以内、かつ150万円以内です。
例えば、ある金融機関の口座の預金が1800万円で妻と子が2人の場合は、妻は法定相続分2分の1の3分の1である300万円が150万円を超えますので150万円を、子は法定相続分4分の1の3分の1である150万円をそれぞれ単独で払い戻すことができます。
なお、それぞれが払い戻した分は、一部分割で取得したものとみなされます。
複数の金融機関に預貯金がある場合には,それぞれの金融機関から上限額まで払戻しを受けられます。
※遺言書がある場合
遺言書がある場合、遺言書で指定された相続人や受遺者は、単独で、銀行口座の解約手続を進めることができます。必要となる戸籍謄本等も少なくなります。
遺言書をそのまま認めてもらえるかどうかは各金融機関の基準によりますが、公正証書遺言であれば、まず問題なく使用することができます。
自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所の検認を受けており、形式的に有効なものであれば、使用できるかと思いますが、受け取る相続人又は対象の財産が不明確な場合は、認めてもらえない可能性があります。
4.必要事項を記入し、各相続人の署名捺印をもらう
上記もふまえ、各金融機関の所定の用紙に必要事項を記入し、各相続人が署名捺印(実印)を行います。
5.窓口にて払い戻しを受け、遺産分割協議をまとめ、協議にそって分配する
証券口座の相続手続も、預貯金口座の相続手続とほぼ同じですが、少しだけ手間がかかります。
預貯金口座の場合は、口座を解約すれば引き出すことができます。
証券口座の場合は、証券会社に相続人の口座がない場合、新規で口座を作るか株式を売却してから相続人へ引き渡さなければなりません(売却する場合でも口座を作ってからでないと手続できない場合もあります)。
平日に手続を行う必要がありますので時間がとりにくいでしょうし、相続人全員の書類を集めるのはなかなか大変かと存じます。
当事務所で預貯金相続の代行をいたします。
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