相続が発生した場合、亡くなられた方が保有していた財産を調査する必要があります。
どういった財産があるか、また、相続税の申告が必要なのかどうかを調査していきます。
マイナスの財産が多い場合は、相続放棄・限定承認を検討することになります。
相続放棄・限定承認は、相続開始を知ってから3か月以内に行う必要があるので、できるだけ早くに開始していく必要があります。
同時に遺言があるか、相続人が誰になるのかも調査していきます。
このページの目次
相続財産調査の方法と流れ
次のような流れで、調査を行っていきます。
1.亡くなられた方の身の回りの調査
- 机
- 書棚
- たんす
- 納戸
- 金庫
などを確認してください。
預貯金通帳、権利証書、株や保険の書類、貸金庫の契約書などが出てくるかもしれません。なんの書類かよくわからない場合は、お気軽にお問合せください。
2.預貯金通帳
入金や、引き落としの記録から、借入の状況、保険の加入、株や投資信託の有無、収益不動産等の有無がわかります。
最近はネットバンキングも多いですので、インターネットのお気に入りや閲覧履歴、メールも調査する必要があります。
3.郵便物
・固定資産税納税通知書
市町村役場から毎年5月ごろに送られてきます。こちらに固定資産税が課税されている不動産が記載されています。
・銀行などからの郵便物
取引銀行がわかります。
・亡くなられた後に届く郵便物
上記からも預貯金の有無、借入の状況、保険の加入、株や投資信託の有無がわかります。
4.市町村役場の調査
・登記事項証明書の取得
不動産の登記内容を確認し、もし抵当権がついていれば、借入の内容がある程度わかります。
・名寄帳の取得
市町村役場で名寄帳を取得すれば、その市町村役場において、固定資産税が課税されている亡くなられた方名義の不動産がわかります。
5.銀行等の残高証明書の取得
上記により預貯金がありそうな金融機関が判明すると、残高証明書を取得します。
残高証明書の取得方法は下記のとおりです。
・残高証明書の申請先
金融機関の窓口で申請手続を行いますが、どこの支店でも手続は可能です。相続人であればどなたでも取得が可能ですが、委任状をいただいて当事務所で取得することができます。
あわせて口座の「名寄せ」もしてもらいましょう。
名寄せとは、その銀行で開設している全ての口座を洗い出すことです。
・残高証明書の取得に必要な書類
相続人であることを証する除籍謄本、戸籍謄本が必要です。印鑑証明書(3か月以内)や本人確認書類が必要になる場合があります。
・残高証明書の取得にかかる時間
だいたい1週間程度で取得できます。
6.上場株式、投資信託等の調査
取引の窓口になっていた証券会社を調査します。
まずは、証券会社からの郵送物(売買報告書や配当金の案内など)、口座開設申込書、
通帳に配当の記載がないかなどを調査します。
手がかりが見つからない場合は、「証券保管振替機構」(ほふり)で証券会社の照会をします。
ほふりに「登録済加入者情報の開示請求」をすることで、証券口座の開設先がわかります。
預貯金口座の場合と同様に、保有する有価証券の残高証明書を発行してもらいましょう。
7.債務の調査
亡くなられた方の借金などのマイナスの財産も、相続することになります。
亡くなられた方のマイナスの財産は、預貯金通帳の引き落とし記録、領収書、金融機関から届いた督促状などをもとに、調査していきます。
誰かの保証人となっていれば、保証債務も承継するので、保証契約書がないかも確認します。
相続手続の根本は、財産及び相続人の調査です。
相続財産及び相続人の把握を間違ってしまいますと、すべてがうまくいかなくなってしまいます。
マイナスの財産が多いことが少し調査をすればわかったのに、その調査をしなかったがために、多くの借金を相続してしまい、何百万円の損をしてしまった、そのようなことがありえます。
司法書士等専門家に財産調査を依頼されることをおすすめいたします。
どうぞ当事務所にお気軽にご相談くださいませ。