遺言書で実現できることのうち、主なものは次に記載します。
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①相続人ではない人に財産を渡す
相続人ではない人は基本的に財産を取得できませんが、遺言により財産を渡すことができます。
例えば、内縁のパートナー、お子様の奥様など、お世話になった方にご自身のお気持ちで財産を渡すことができます。
②相続分の指定又は指定の委託
法定相続分と異なる割合で、相続分の指定ができます。
妻、長男及び長女が相続人としていらっしゃる場合、法定相続分は妻が4分の2、長男が4分の1、長女が4分の1ですが、例えば妻を6分の4、長男を6分の1、長女を6分の1というように変更することができます。
③遺産分割の禁止
遺産分割を禁止することができます(最長5年)。
④遺言執行者の指定又は指定の委託
遺言どおりの手続がなされるよう、その手続をする遺言執行者を指定することができます。遺言執行者は、相続人に対して、遺言執行者に就任したことの報告、財産目録を交付することなどが義務付けられています。相続人とトラブルにならないよう遺言執行者の報酬を決めておくこともできますので、報酬を定めた上で遺言執行者を決めておくのがよろしいかと思います。
⑤相続人の廃除および廃除の取り消し
相続人の廃除とは、ご両親のお金を盗んだり、ご両親に暴力をふるうなど、虐待、重大な侮辱その他著しい非行をした相続人の相続資格を奪うことです。廃除の対象者は、遺留分を有する推定相続人に限られ、遺言で行う場合は、遺言執行者が必要です。なお、廃除は生前に行うこともできますが、生前にした廃除を遺言で取り消すことができます。
⑥特別受益(生前贈与や遺贈)の持戻し免除
生前贈与(特別受益)は、相続開始時に相続財産に加える必要がありますが、それを免除することです。
⑦認知
非嫡出子(婚姻していない男女間にできた子ども)を自分の子として、法的親子関係を生じさせることです。
⑧未成年後見人の指定、後見監督人の指定
未成年者に親権者がいない等の場合、未成年者の後見人や後見監督人を指定できます。
など
あとは、例えば、「兄弟仲良く助け合って暮らしてほしい」というようなことは付言事項といって、強制力はありませんものの、争いを避ける観点から影響力が大きいので、できるだけ記載する方がよいかと思います。