相続における財産目録とは、相続手続に使用する、亡くなられた方の死亡時、財産目録の作成時などある時点における相続財産を、すべて記載したものです。
必ずしも作成する必要があるわけではありませんが、次の点から作成する方がよろしいかと思います(なお、遺言があり、かつ遺言執行者がいる場合は、遺言執行者が作成します)。
このページの目次
1.遺産分割協議を行いやすくなる
一目見て全相続財産の内容がわかるため、相互に隠し事がないことの信ぴょう性が増し、遺産分割協議がまとまりやすくなります。
2.相続税の申告に使用できる
まず、相続税の申告が必要であるかどうか判断しやすくなりますし、申告が必要な場合、そのまま使用することができます。したがいまして、そのまま使用することができる様式のものを最初から作成し、評価額のみ必要に応じ見直す作成方法がよいかと思います。
なお、原則として、相続財産の合計額が、「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えますと、相続税の申告が必要になります。
3.相続放棄を行う必要性を判断できる
プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いことが判明した場合、相続の発生を知ったときから3か月以内であれば、相続放棄ができます。3か月以内に財産目録が完成せず、マイナスの財産が残っている可能性がある場合には、相続放棄の期限を延長することができます。
相続財産目録の作成手順
相続財産目録を作成するためには、財産調査を行うことが必須です。
(財産の調査方法につきましては、財産調査の実施のページをご参照ください。)
そして、財産目録に例えば、次のように記入していきます。
・不動産の場合
大阪市中央区谷町1丁目〇番〇 宅地 〇〇〇.〇〇㎡
評価額 〇〇〇〇万円
評価額は、固定資産税評価証明書を確認して記載します。
ただし、税務申告の際には、路線価を記載します。
・預貯金
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
評価額 〇〇〇万円
評価額は、作成日(又は直近)のものを記載します。
・株式
〇〇証券 〇〇支店 銘柄:株式会社〇〇 〇〇〇株
評価額 〇〇〇万円
評価額は、作成日(又は直近)のものを記載します。
※どの時点を遺産分割対象財産の範囲及び評価額を確定する基準時とするのかということについては、相続開始時とする見解と遺産分割時とする見解とがあり、実務では、遺産分割時とすることが多いですが、相続人間の話し合いで、どの時点を評価の基準時とするか決めることができます。
ただし、税務申告においては、相続開始時の評価額を基準に計算されます。
したがいまして、税務申告が必要ない場合は、相続人が納得できる時期であれば、比較的自由な時期の評価額とすることができます。
・自動車
車種:〇〇社 〇〇(車名) 車両番号:〇〇‐〇〇〇〇
評価額 〇〇〇万円
この評価額は、一般的には直近の査定額でよいと思います。国税庁の「動産」に関する指導により、減価償却で自動車の価格を評価することもできます。
・ゴルフ会員権
ゴルフ会員権(○○カントリークラブ利用権) 運営会社:株式会社〇〇
評価額:〇〇〇万円
評価額は、直近の査定額を記載します。
・生命保険金
死亡保険金 〇〇生命 番号:〇〇〇〇〇〇〇
評価額:〇〇〇万円
たとえば、解約返戻金がある生命保険で、亡くなられた方が契約者、被保険者で保険金受取人であれば、その時点での解約返戻金が評価額となります。
・相続債務
債権者:○○銀行
債権額:〇〇〇万円
借入用途:住宅ローン
当事務所では、詳細な聞き取り、及びお打ち合わせを行いながら、相続財産調査を行い、財産目録を作成いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。